第249章

丹羽光世が追いかけて外へ出たときには、もう姿は見えなかった。

エレベーターは人でぎゅうぎゅうだ。島宮奈々未は階段、丹羽光世はエレベーター。結果として、丹羽光世のほうが奈々未より先に病院を出ていた。

なのに――病院の正面で、ふたりは前後して顔を出し、そして妙なすれ違いをする。ひとりは左へ、もうひとりは右へ。

丹羽光世からの着信。島宮奈々未は出なかった。

胸の中がぐちゃぐちゃで、どう向き合えばいいのか分からない。何事もなかったみたいな顔なんて、できるはずもなくて。

「ブッ!!!」

背後で短く切迫したクラクションが鳴る。奈々未は最初、ただ端へ寄っただけで無視した。

だが、もう一度。

...

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